仏像の話

仏像の話

講師

京都産業大学日本文化研究所 小島一郎先生

お寺に参拝・拝観する時のマナー

参拝

  • 携帯電話の電源切る
  • 帽子を取り、荷物は手さげる
  • 山門や玄関など境内に入る際には合掌
  • 線香・ロウソク・花などを供える
  • 仏を前に、両手を合わせる
  • 心静かに向き合う<感謝・祈願>

拝観

  • 尊顔・身体・荷物・台座などを具に拝見
  • 眼の奥にその姿を焼きつける

日本人が使うこんな言い回し

『仏ほっとけ神構うな』

読み方

ほとけほっとけかみかまうな

意味

信心も信仰も度が過ぎないほうがいいということ。「仏」と「ほっとけ」、「神」と「かまうな」と語呂合わせして調子よくいった言葉。

※日本人の宗教的距離感を表す表現か?

※眼に見えない存在より眼に見える存在を優先する表現か?

『仏』の起源

  • 目覚めた者を意味するサンスクリット語「Buddha」が、「浮屠(ふと)」と音写され「ほと」に転じた。「ほと」に、その道の人を意味する「家(け)」、もしくは「もののけ」などの霊妙なものを示す接尾語「気(け)」が付き、「ほとけ」になったとする説。
  • 仏教伝来時(欽明天皇の時代)に、熱病である「ほとほりけ」という疫病が流行していたため、仏教を謗って(そしって)命名したとする説。
  • 仏教は、煩悩(ぼんのう)を解脱(げだつ)するため、「解け(ほどけ)」の教えを崇めたことから、転じて「ほとけ」になったとする説。

『仏』という言葉の概念2種

広い意味での『仏』

如来だけを仏という。

狭い意味での『仏』

如来グループ、菩薩グループ、明王グループ、グループに分けられる。

仏像由来と考えられる言葉

阿弥陀くじ

「阿弥陀如来」の後光のような形のくじから言うようになった。

台無し

「台」は、仏像を安置する台座のこと。 台座が無ければ仏像の威厳が無くなることから、面目を失うことや、形をなさないことを「台無し」と言うようになった。

『守り本尊』について

子年生まれ

千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)

【真言】オン バザラ ダラマキリク ソワカ

丑・寅生まれ

虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)

【真言】ノウボウ アキャシャキャラバヤ オンアリキャ マリボリ ソワカ

卯生まれ

虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)

【真言】オン アラハシ ヤナウ

辰・巳生まれ

普賢菩薩(ふげんぼさつ)

【真言】オン サンマヤ サトバン

午生まれ

勢至菩薩(せいしぼさつ)

【真言】オン サンザン ザンサク ソワカ

未・申生まれ

勢至菩薩(せいしぼさつ)

【真言】オン バザラダト バン

酉生まれ

不動明王(ふどうみょうおう)

【真言】ノウマクサンマンダ バザラダン センダ マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタカンマン

戌・戌生まれ

不動明王(ふどうみょうおう)

【真言】オン アミリタ テイセイ カラ ウン

仏様達をグループに分ける

如来

悟りをひらいた者のことで仏教を広める仏、あるいは仏教の象徴

【例】釈迦・薬師・阿弥陀。大日 他

菩薩

将来さとりをひらいて如来になるために、一生懸命修行をしている者をいいます。

【例】観音・地蔵・虚空蔵・普賢・文殊 他

明王

相手の性質によっては厳しく対応することも必要、ということで、厳しい表情や恐ろしい姿をしている。

【例】不動・軍荼利・大威徳・愛染・孔雀 他

仏教界におけるガードマン、ともいえるでしょう。

【例】毘沙門・弁天(財)・韋駄・仁王・閻魔王・十二神将・深沙大将 他

仏像4グループ その特徴は?

如来

『質素』『三十二相』

菩薩

『優雅』『様々な持物』

明王

『憤怒相』『様々な台座』

『武闘派』『官僚派』『個性派』

仏の世界を社会組織に例えると

仏教如来 株式会社

如来

会長・社長級の組織トップ

菩薩

部長級の上級管理職

明王

課長・係長級の中間管理職

特殊な能力を持つ専門職・主任クラス

衆生

一般社員

仏の世界を学校に例えると

仏教如来 中学校

如来

校長先生

菩薩

担任の先生

明王

生活指導の先生

音楽や体育の先生・保健の先生・守衛さん等

衆生

児童・生徒・学生 諸君

ユニットで覚える仏たち

『三尊仏(トリオ・ザ・ほとけ)』

釈迦三尊

普賢菩薩/釈迦如来/文殊菩薩

阿弥陀三尊

勢至菩薩/阿弥陀如来/観音菩薩

薬師三尊

月光菩薩/薬師如来/日光菩薩

千手三尊

不動明王/千手観音/毘沙門天

如来と菩薩の違い

如来は仏様、菩薩は仏候補生の神様です。如来は浄土に、菩薩は六道の上位にある天界に暮らし人間界の修行者同様、解脱を目指して修行をしています。

5分で垣間見るお釈迦様の人生

仏教の創始者

本名は『ゴータマ・シッタールタ

北インドカピラ城『釈迦族』の生まれ・・・父は浄飯王 母は摩耶夫人

29歳で出家35歳で悟りを開く。以降仏教の教えを時続け80歳で入滅

誕生日(灌仏会)・・・・・・・4月8日

悟りあお得た日(成道会)・・・12月8日

入滅した日(涅槃会)・・・・・2月15日

三十二相・八十種好 代表例

三十二相

金色相(こんじきそう)

身体手足全て黄金色に輝いている。

足下安平立相(そくげあんぴょうりゅうそう)

足の裏が平らで、地を歩くとき足裏と地と密着して、その間に髪の毛ほどの隙もない(扁平足)。

味中得上味相(みちゅうとくじょうみそう)

何を食べても食物のその最上の味を味わえる。

頂髻相(ちょうけいそう)

頭の頂の肉が隆起して髻(もとどり)の形を成している。肉髻(にくけい)。

手足柔軟相(しゅそくにゅうなんそう)

手足が柔らかで色が紅赤であること。

白毫相(びゃくごうそう)

眉間に右巻きの白毛があり、光明を放つ。伸びると一丈五尺ある。(約4.5m)

大舌相(だいぜつそう)

舌が軟薄で広く長く、口から出すと髪の生え際にまで届く。しかも、口に入っても一杯にはならない。

八十種好

螺髪相(らほつそう)

髪の毛が渦を巻いてパンチパーマなのようになっている。

如来のヘアースタイル

  • 螺髪(らほつ)』は八十種好のひとつで螺旋状(らせんじょう)にちじれた如来の髪の毛のこと。
  • その極端な例が『五劫思惟 阿弥陀如来』像

観音菩薩(オン・デマンドそして変幻自在)

  • 正式名は『観世音菩薩』・『観自在菩薩』
  • 変身好き(三十三観音)&出張も大好き(遊於老婆)
  • 阿弥陀株式会社の総務部長(福祉・救済)。阿弥陀如来の右腕的存在であるが、自らも浄土を所有する。
  • 六観音に自在に姿を変える。
  • 持物は特に、蓮関連アイテムが多い。

千手観音&十一面観音

千手観音

代表例:金戒光明寺(黒谷)千手観音立像(重文)

十一面観音

代表例:観音寺(京田辺市)本尊 十一面観音立像(国宝)

『不動明王』とは?

本名

アラャラ・ナータ

持物

右手に三鈷剣(さんこけん) ・・・煩悩を断ち切る

左手に羂索(けんじゃく)・・・・・煩悩を縛り衆生を救う

光背

火炎光背(かえんこうはい)・・・・煩悩を焼き尽くす力や永遠の勇猛心を表す

五大明王

不動明王(ふどうみょうおう)

降三世明王(ごうざんぜみょうおう)

軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)

大威徳明王(だいいとくみょうおう)

大威徳明王(だいいとくみょうおう)

明王の中のリーダー的存在が不動明王です。

明王は密教独特の存在

大日如来の命令を受けて仏道に目を向けない者を振り向かせる役目を負う。

『毘沙門天』その躍動感!!

本名

ヴァイシュラヴァーナ 

ヒンドゥー教にはおいてはクベーラともいう。

ユニット&ソロ

四天王の中(ユニット)では『多聞天(たもんてん)』

単独(ソロ)では『毘沙門天(びしゃもんてん)』

と呼ばれる。

家族

妻は『吉祥天(きちじょうてん)』

子は多数

善膩師童子(ぜんにしどうし)』が有名

持物

宝塔(ほうとう)・(げき・ほこ)・宝棒(ほうぼう)など

『四天王』シフト(実践型)

~本当はこわくない『閻魔(大)王』~仕事は三つ!

閻魔(えんま)さんプロフィール

  • もとは人間だった。
  • 古代インド生まれ。
  • 本名『ヤマ―(夜摩)』。妹に『ヤミー』
  • 人間第一号。死者第一号。

『閻魔王(夜摩天)』の重要な任務

  • 死者の国の管理
  • 地下の獄卒の管理
  • 裁判官(大五審)

冥界の十王(ハードボイルドな十人の裁判官達)

秦広王(しんこうおう)

【本地】不動明王

【審理】初七日(7日目)

初江王(しょこうおう)

【本地】釈迦如来

【審理】二七日(14日目)

宋帝王(そうていおう)

【本地】文殊菩薩

【審理】三七日(21日目)

伍官王(ごかんおう)

【本地】普賢菩薩

【審理】四七日(28日目)

閻魔王(えんまおう)

【本地】地蔵菩薩

【審理】五七日(35日目)

変成王(へんじょうおう)

【本地】弥勒菩薩

【審理】六七日(42日目)

泰山王(たいざんおう)

【本地】薬師如来

【審理】七七日(49日目)

平等王(びょうどうおう)

【本地】観音菩薩

【審理】百か日(100日目)

都市王(としおう)

【本地】勢至菩薩

【審理】一周忌(2年目)

五道転輪王(ごどうてんりんおう)

【本地】阿弥陀如来

【審理】三回忌(3年目)

これらの記事は、2023京都SKYシニア大学『京都見聞セミナー』の資料を参考に記事を掲載しています。

タイトルとURLをコピーしました